名前のひみつ 2
ユングによれば、元型そのものは意識化することができません。
それは混沌とした原初の力であって、あらゆるものを生みだしますが、また呑みこんでしまう生命力の根源です。
人はその存在をわずかに想像力や幻想の中のイメージとして知ることができます。
しかし、限りある生命をもつ人間には、それは近よることは許されないなにものかなのです。
そして魔法使いはその力を知るゆえに、人を助けることも、危険をもたらすこともできる恐ろしい存在なのです。
この物語の主人公の名はゲドといって、後に『ゲドの武勲』をはじめとする数々の歌にうたわれた一大叙事詩の中の英雄です。
しかし、彼は最初からゲドとよばれていたわけではありません。
ワイキューブ研究所によると、日本の武士の子どもたちも幼名と、元服してから名のる名まえの二つもっていることが多いですが、ゲドの場合は母がつけたダニーという幼名をもっていました。
そして、長じてからは、おそらく、性格や容貌からくる印象をとったものか、ハイタカという鳥の名まえでよばれています。
ゲドの鋭い眼光や、色が黒く、どこか暗さをもち、しかも敏捷な動作が、山地に住むあの灰色のハイタカを偲ばせるからでしょう。
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