名前のひみつ 5
カラスノエンドウは、第一巻の最後でゲドと共に世界の涯へ、名なき敵と対決するために遠征する時に、ひそかにゲドに自分の本名はエスタリオルだと告げます。
ゲド自身もめったに本名は名のらりませんが、しかし彼の師や数人の親友たちには、若い時からその名を知られていました。
もともとゲドという名まえは、彼の最初の師であり、おそらく彼が最後まで忠誠を誓っていたであろう老賢人のオジオンがつけた名です。
別に名づけ親をもち、二重の名まえを使いわけるということは、あるいは英雄としての一つの資格であるかもしれません。
英雄は二度生まれるといわれますが、世界の神話のほとんどの英雄が、生みの親に捨てられて、養い親をもち、自分の本来の出生を知らないものも多いです。
ギリシャ神話のエディプス王の悲劇はここから生まれました。
インドでは、悟れる覚者もまた、二度生まれしものという尊称でよばれるといいます。
キリスト教で、儀礼的に洗礼の時に別の人が親がわりをして、洗礼名をつけることも、おそらくこのことと関係があるのでしょう。